富士山と駿河湾【-この頃思うこと-56-】

高所にある家の南向きガラス戸東側3/1ほどは日本平の丘陵で伊豆半島は全く隠れ、南西側の2/3は靜岡の街並みとその5kmほど先に海が広がりそれが西方の焼津やその先まで続いていて駿河湾内にいるとは思えない。しかし東へ20キロも行くと清水や興津の海岸から北東の富士山と西へ伊豆の山々の連なる海岸が見え駿河湾にいるこが実感できる。

先日東京の娘夫妻の誘いで、快晴だし清水港から土肥(トイ)までフェリーで渡った。清水湊と聞けば私の年代は「お茶の香りと清水次郎長」を連想するが、それが東海地方とは思っていたものの靜岡に隣接しているとは知らなかった。新幹線が通る前に勤務先の北九州と東京本社間の出張で何十回となく夜間に寝台車で東海道線の同駅を素通りしていた筈だが真夜中だし気付かなかったのだ。また幼時を過ごした佐世保で見た銭湯一面の壁画で馴染みだった三保の松原越えにそびえる壮大な富士山の実物が清水港への入り口の小さな半島の外側にあるのを知ったのもこの20年ほど前だ。

ここでの生活は7年目を迎えるが、富士山は毎日2~3キロの散歩道の2箇所で見られる。とは言え、5月を過ぎ夏場には雲と湿気に遮られ見えない日が多いが、見えても冠雪がなく普通の高い山の感じだ。しかし10月も半ばを過ぎての冬場には青空にくっきりとその姿を現し「語り継ぎ言い継ぎ行かん富士の高嶺は」と昔の人が詠った通り霊峰の感じさえする。 このような馴染みの富士だが、清水港を発って船上から眺めた霊峰は方向により刻々と表情を変え1時間もの間見飽きることがなかった。

また、船から見る伊豆半島西岸は海外線まで山が迫り断崖になっている。沼津から戸田(ヘタ)・土肥・堂ヶ島と平地は少なく車は殆どが海岸でなく山のなかや嶺を通っている。温泉もあり観光地としては勿体ない気がする。半島の東海岸も山が迫っているが東京に近いせいか車は海岸線沿いの温泉地熱海・網代・伊東・下田を通り観光地として賑わっている。我々は土肥について山のなかが殆どだったが北上し戸田(ヘタ)へ向かった。今回初めて戸田港の入り口の堤防まで行ったが駿河湾を望んでの富士も良かった。
途中で撮った素人写真だが駄文での描写よりはイメージが湧くと思い載せる。なお戸田海岸からの写真で左端の黒い雲は翌日の朝刊によると富士川近くの製紙工場の火事だった。

  

清水港から        駿河湾から      戸田海岸から